水入れるだけ!マイクロプラスチックを除去できる「自己拡散型マイクロクリーナー」の開発に成功

ノースカロライナ州立大学の研究チームは、マイクロプラスチックを自律的に水中で捕捉し、水面に浮上して回収可能にする「自己拡散型マイクロクリーナー」の開発に成功した。この技術は、海洋や水域の持続可能な浄化に貢献する可能性がある。

Designing of Self-Dispersing Soft Dendritic Microcleaners for Microplastics Capture and Recovery
https://advanced.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adfm.202423494
New Water Microcleaners Self-Disperse, Capture Microplastics and Float Up for Removal
https://news.ncsu.edu/2025/03/cleaning-microplastics-in-water/

“捕まえて浮かぶ”一連のプロセスを1サイクルで

この新しいクリーニングシステムは、「水中で分散 → 微細プラスチックを捕捉 → 水面へ浮上 → 回収」という一連のプロセスを単一サイクルで実現する。軟質の樹枝状コロイド(SDCs)と呼ばれる粒子がベースとなっており、乾燥状態ではペレット状に成形され、水に投入されると拡散してマイクロプラスチックを“狩る”ように動き出す。

原材料は海の恵み、持続可能性にも配慮

マイクロクリーナーの素材には、甲殻類の廃棄物から得られる生分解性ポリマー「キトサン」が使われている。さらに、拡散性を高めるために植物由来のオイル「オイゲノール」を加えることで“カンフルボート効果”を生み出し、粒子が水面を滑るように広がっていく。

浮上の鍵は“マグネシウム×ゼラチン”の仕組み

捕まえたマイクロプラスチックを水面に運ぶ仕組みにはマグネシウムの反応が活用されており、水と反応して泡を発生させ浮力を得る。一方で、その反応を遅らせるためにマグネシウムはゼラチンで包まれており、時間差での浮上が可能。これにより、沈みながら効率よくプラスチックを捕捉できる。

繰り返し利用と拡張への期待

捕捉されたマイクロプラスチックは、水面で“泡立ったスカム”として集まり、簡単に回収できる。この残渣は再度キトサンとして加工でき、クリーナーとして再利用することも視野に入っている。今後の課題は、大規模な水域への応用に向けたスケールアップであると研究者は述べている。

この研究は2025年3月25日付で科学誌『Advanced Functional Materials』に掲載された。研究は米国立科学財団(NSF)の支援を受けて行われた。

文=WEBOPI(翻訳・編集)


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