概要
暴力傾向の強い人は、感情が曖昧な顔を見ると「怒っている」と解釈しやすい──心理学の新研究により、攻撃性やサイコパス傾向を持つ人々が感情表現をどのように捉えるかが明らかになった。
この“認知の歪み”は、暴力的行動の背景を理解する手がかりになる可能性がある。
怒りの“過剰検出”が攻撃性と関係
ケンブリッジ大学などの研究チームは、暴力的な犯罪歴を持つ被験者に曖昧な表情を見せ、どの感情として捉えるかを調査。
その結果、一般人よりも「怒り」と認識する頻度が高い傾向があった。これは、攻撃的な人々が環境を“敵意的”に感じやすいことを示唆している。
サイコパス傾向者は“共感”よりも“脅威”に敏感
研究はまた、サイコパス傾向を持つ人々が怒りや恐怖といった感情を、他人の表情から正確に読み取れない傾向にあることも指摘。
これは共感性の低さと関連しており、人間関係における誤解や衝突を生み出す一因とされる。
表情の“曖昧さ”が判断を分ける
研究では、怒りと恐怖が混ざったような曖昧な顔画像を使用。
暴力的な被験者はこれを「怒り」と解釈しやすかった一方、非暴力的な人々は「恐怖」や「中立」と捉える傾向があった。この違いが、現実社会での行動パターンの差に直結する可能性がある。
犯罪予測や更生支援への応用に期待
この研究は、犯罪リスクの評価や再犯防止プログラムの改善にも役立つと期待されている。
特に、顔認識のバイアスに対する認知トレーニングが、暴力傾向の抑制につながるかもしれないと研究者は指摘している。
Perception of emotional facial expressions in aggression and psychopathy | Psychological Medicine | Cambridge Core
https://www.cambridge.org/core/journals/psychological-medicine/article/perception-of-emotional-facial-expressions-in-aggression-and-psychopathy/9B031AD0B060B7BDD374BB594AEF5FF0
Violent offenders more likely to perceive ambiguous faces as angry, study shows
https://www.psypost.org/violent-offenders-more-likely-to-perceive-ambiguous-faces-as-angry-study-shows/
文＝WEBOPI（翻訳|構成|編集）
