
欧米諸国では珍しくない「土足での室内生活」だが、医学や公衆衛生の視点からは、靴を脱ぐことが“健康を守る賢明な習慣”であるとする研究者の声が注目を集めている。英国の医学微生物学専門家は、幼少期に「靴厳禁」の家庭環境で育った経験を語りつつ、そのルールが科学的に裏付けられた正しい行動であったと説明している。
靴裏は“見えないリスク”を持ち込む
私たちが日常的に履く外履きには、道路やトイレ、公共施設などあらゆる場所の微生物が付着している。病原菌や有害物質が靴底に付き、室内へと持ち込まれることで、健康に悪影響を及ぼすリスクが指摘されている。
靴裏は“見えないリスク”を持ち込む
外を歩いた靴底には、目に見えない病原菌や有害な化学物質が大量に付着している。公共のトイレ、道路、芝生などを経由して細菌が靴底に移り、家庭内の床に広がってしまうことがある。こうした汚染物質は、小さな子どもやペット、裸足で生活する人々の健康リスクを高めるとされている。
医学専門家も「脱靴派」だった
イギリスのウェストミンスター大学で医学微生物学を教えるマナル・モハメッド氏は、幼い頃に母親から「絶対に家の中で靴を履くな」と厳しく言われて育ったという。当時は過剰なルールに思えたが、専門家となった今では、その行動が感染症や病原体の拡散を防ぐうえで非常に理にかなっていたと実感している。
科学的エビデンスが支持する「靴を脱ぐ文化」
近年の研究では、靴底から検出されるバクテリアの種類や病原性に関する調査が進んでいる。たとえばクロストリジウム・ディフィシルなどの感染力が強い細菌も靴底から見つかっており、病院内だけでなく家庭にもリスクが及ぶ可能性が指摘されている。さらに、アスファルト由来の有害物質や残留農薬なども懸念材料となっている。
日本の“当たり前”が世界的に見直されるかも?
日本では当たり前のように行われている「玄関で靴を脱ぐ」習慣。これは礼儀や文化の一環としてだけでなく、健康と衛生を守るという観点からも非常に優れた生活様式であることがわかってきている。今後、同様の習慣が世界中で見直され、採用されていく可能性もある。
Why you should think twice before wearing outdoor shoes indoors
https://theconversation.com/why-you-should-think-twice-before-wearing-outdoor-shoes-indoors-254427
文=WEBOPI(翻訳・編集)