ビーバーが役所を出し抜く!チェコの湿地再生プロジェクトを「無許可施工」し話題に
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チェコのブロディ地域で、ビーバーのコロニーが驚くべき「環境整備」を成し遂げました。地元当局が約30億チェコ・コルナ(約30億円)をかけて湿地再生プロジェクトを進めようとしていた矢先、ビーバーがいち早く複数のダムを建設し、自然の力で理想的な湿地を作り上げてしまったのです。

地元の環境保護当局はこの出来事に驚きを隠せず、「ビーバーたちは完璧な場所を選び、行政が長期間議論していたプロジェクトを一晩で実現した」とコメントしています。実際、このエリアはかつて軍事施設の排水路として掘削されており、水がたまりにくい環境でした。しかし、ビーバーの建設したダムが水の流れをせき止め、湿地の復活を実現したのです。

動物行動学者のジリ・ヴルチェク氏は、「ビーバーはわずか1~2晩でダムを完成させる能力を持っています。一方、人間は許可を取ったり、予算を確保したりするのに何年もかかるのです」と述べ、行政の遅さを皮肉りました。

また、環境専門家は、この湿地の形成によって絶滅危惧種の石ガニや希少なカエルなど、多くの生物にとって理想的な生息地が生まれたと評価しています。

一方で、ビーバーの「建築技術」が必ずしも人間社会にとって有益とは限りません。過去には農地を浸水させたり、鉄道の近くを水没させる事例も発生しており、地元当局はビーバーの活動と人間のインフラの共存について慎重に検討を進めています。

ビーバーは「自然界のエンジニア」とも呼ばれ、木をかじってダムを作ることで環境を変える能力を持っています。その活動によって湿地が形成され、生態系の多様性が向上する一方、人間の生活に影響を及ぼすこともあります。

チェコではビーバーの保護が進められていますが、同時に農業被害やインフラへの影響も課題となっています。今回のように自然再生の助けになることもあれば、逆に人間の計画を狂わせることもあり、地域によって評価が分かれています。

    今回の出来事は、ビーバーが持つ環境再生の可能性を示しましたが、人間のインフラとの共存が課題となります。チェコでは今後、ビーバーの活動を監視しながら、自然の力を生かした環境保護策を検討していく必要があるでしょう。

    また、湿地再生プロジェクトにおいて、動物の生態を利用するアプローチが今後の環境政策に組み込まれる可能性もあります。ビーバーの「建築技術」を活用することで、より持続可能な環境保護が実現できるかもしれません。


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