「間抜けな魚」マンボウが、なぜ海で生き残れたのか? 注目される“進化の奇跡”
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概要

奇妙な体と生態で「最も間抜けな魚」として知られるマンボウ。しかし、KurzgesagtがYouTubeで解説したように、そのおかしな進化こそがマンボウの生存戦略でした。

栄養価のない餌、寄生虫まみれの体、異様な見た目――それでもマンボウは、世界中の海で今日もゆったり生きています。

■「進化の失敗作」のようで、実は超効率型の構造

マンボウの体は非常に奇妙で、扁平で丸く、尾びれの代わりに舵のような突起を持ち、上下のヒレをパタパタ動かして泳ぎます。外見は間抜けでも、その中身は特殊なゼラチン質の構造で満たされており、体重の90%が水分という浮力のための設計。

肺魚のような浮袋はなく、骨格もほぼ軟骨。見た目に反して、マンボウはサケ並みに速く泳ぐことが可能です。つまりこれは「不器用なようで、合理的」なボディなのです。

■捕食者にも見捨てられる「まずさ」が最大の武器

マンボウは、肉が水っぽくて栄養がなく、寄生虫まみれという「食べたくない魚」。シャチやサメに襲われることはあっても、すぐに吐き出されてしまうことが多く、アシカは内臓だけを食べて残りをフリスビーのように遊び道具にするほど。

皮膚は最大15cmのゴムのような厚さがあり、硬すぎて攻撃も効かない。これは「食われない戦略」として、非常に効果的なのです。

■脳はクルミサイズでも、繁殖戦略は超大胆

マンボウの脳はたったのクルミ程度。しかし繁殖となるとスケールが一変。雌は一度に約3億個もの卵を産み、孵化した幼生は米粒サイズながら、成長すると車ほどのサイズに。体重は孵化時から約6000万倍にまで増加します。

この極端な数と成長スピードによって、「ほとんどの子が死ぬこと」を前提とした繁殖戦略が成り立っているのです。

■クラゲを食べ続ける“ゼロカロリー戦士”の食生活

マンボウの好物は、クラゲやクシクラゲ、サルパなどの「ゼリー系生物」。これらはほとんど水分で栄養がないため、1日に数千匹も食べ続ける必要があります。口は噛むことができないため、喉奥の「爪のような歯」でゆっくりと裂いて吸い込みます。この“燃費の悪い”食事を続ける姿勢が、他の捕食者が見向きもしない獲物を独占するという、生存戦略になっているのです。

このように、マンボウは「進化の失敗作」に見えて、実は非常に特化した成功例。

海の中での繁栄は、見た目や脳の大きさでは測れない“生存の知恵”が支えているのです。マンボウは、いじられキャラでありながら、進化の天才でもあるということが、この動画を通じて広く知られるようになっています。

The Dumbest Animal Alive
https://www.youtube.com/watch?v=gtDKKJq9u30

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文=WEBOPI(翻訳|構成|編集)


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