
概要
SNSを日常的に利用する子どもは、利用しない子どもに比べて読解力や記憶力に差が生じる可能性がある——。
2025年10月、医学誌JAMAに発表された大規模研究により、前思春期のSNS利用と認知機能の関係が注目されています。9〜10歳の子どもを対象としたこの研究は、SNSの使用時間が2年後の学力テストにどのような影響を与えるかを明らかにしました。
Social Media Use Trajectories and Cognitive Performance in Adolescents | Adolescent Medicine | JAMA | JAMA Network
https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2839941
Social media use linked to lower reading, memory scores in preteens : Shots - Health News : NPR
https://www.npr.org/sections/shots-health-news/2025/10/13/nx-s1-5571050/social-media-teens-brains-reading-memory
Study: Social Media Might Stunt Students' Intellect | Newsmax.com
https://www.newsmax.com/health/health-news/students-social-media-education/2025/10/14/id/1230253/
Increasing Social Media Use in Preteens May Be Hurting Cognition Too | MedPage Today
https://www.medpagetoday.com/pediatrics/generalpediatrics/117911
SNS利用で成績が最大5ポイント低下
研究では、SNSをほとんど使わなかった子どもと、1日3時間以上使用する子どもを比較。すると後者は、読解力と記憶力に関するテストで最大5ポイントも低いスコアを記録していました。
中程度の使用(1日1時間前後)であっても1〜2ポイントの差が出ており、「使いすぎ」だけでなく「少しの利用」でも影響がある可能性が示唆されています。
調査は6000人以上の子どもを追跡
研究チームは、アメリカの大規模プロジェクト「ABCD Study」のデータを用いて、6000人以上の子どもを2年間追跡調査。SNS利用の変化によって3つのグループに分類し、それぞれの認知機能の変化を分析しました。
子どもたちは読解力や語彙力、聴覚記憶などに関する複数のテストを受け、その結果が比較されています。
SNSが学習への集中力を妨げる
専門家は、SNSが情報処理の方法を変化させ、学習への集中を妨げていると指摘しています。
ノースカロライナ大学のプリンスタイン氏は、「子どもたちは以前と同じように集中できなくなっている」と語り、脳の発達が活発な思春期におけるSNSの影響は無視できないと強調しました。
スマホ依存と認知機能の関係も示唆
調査では、SNSを利用する子どもの4人に1人が「悩みを忘れるためにSNSを使う」と答え、半数は「自分の使用時間を把握していない」と回答。
また11%の子どもが「SNSが学業に悪影響を与えている」と述べました。これは、スマートフォン依存が認知機能に影響する可能性を示す重要なサインともいえます。
年齢制限や使用制限の必要性が高まる
研究者たちは、13歳以前にSNSを使い始める子どもが増えている現状に警鐘を鳴らしています。
多くの子どもは複数のSNSアカウントを持ち、長時間の使用が当たり前になっています。専門家からは、SNSアプリに対して年齢制限や使用制限といった政策の必要性を訴える声も強まっています。
文=WEBOPI(翻訳|構成|編集)

