
概要
アメリカ・シアトル発の家庭用包丁メーカー「Seattle Ultrasonics」が、刃に超音波振動を与えて少ない力で食材を切れる革新的な「超音波包丁」を発表しました。
見た目は通常の包丁と変わりませんが、ボタンひとつで微細な振動が発生し、柔らかいトマトや果物も潰さずにスライス可能。刃への食材の張り付きも軽減されるなど、これまでにない調理体験を提供するとして注目を集めています。
Seattle Ultrasonics
https://seattleultrasonics.com/
The World's First Ultrasonic Chef's Knife for Home Cooks: Seattle Ultrasonics C-200
「見た目は普通、でも刃が1秒間に4万回振動」
Seattle Ultrasonicsが開発した「C-200 Ultrasonic Chef's Knife」は、刃の根元にあるボタンを押すと超音波が発信され、刃が10~20ミクロンほど前後に振動します。
この動きは1秒間に4万回以上繰り返され、目にも手にも感じられないほど微細。にもかかわらず、切れ味は飛躍的に向上し、硬い食材から柔らかい食材まで軽い力でカットできるのが特徴です。
「力は半分、食材も崩さない」
開発チームはロボットを使って切断時の力を測定。結果、超音波をオンにするとオフ時の約半分の力で切断可能であることが確認されました。
従来は潰れやすかったトマトや果物も、わずかな力で美しい断面にスライス可能。包丁に食材がくっつきにくい利点もあり、調理作業が一段と効率化されると期待されています。
「6年の開発と日本製鋼の採用」
この包丁は、日本製の鋼を用いた3層構造で作られており、通常の包丁と同じように研ぐことが可能です。
開発者のスコット・ハイメンディンガー氏は、工業分野の技術を家庭の調理器具に応用することに関心を持ち、YouTubeで見た超音波裁断機から着想を得て開発を開始。数十種類の刃形状を試し、基板設計を繰り返し改良すること6年、ようやく完成に至ったといいます。
「価格は5万円台から、独自データベースも公開」
C-200はUSB Type-Cで充電可能で、オプションのワイヤレス充電ケース付きモデルも販売されます。価格は税込5万8100円(単体)から、ケース付きで7万500円。
さらにSeattle Ultrasonicsは研究過程で世界の人気包丁21種類を分析し、10万点以上のデータを収集。その結果をもとに「食品カットに優れた包丁ランキング」を公開しており、日本の「旬Classic シェフズ ディンプル」などが上位にランクインしています。
◯参考
Knife Database – Seattle Ultrasonics
https://seattleultrasonics.com/pages/knife-database
文=WEBOPI(翻訳|構成|編集)