
概要
世界で最も高価なコーヒー「コピ・ルアク」は、ジャコウネコのふんから採取される独特な製法で知られています。
今回、インドの研究チームがこの豆の化学組成を徹底分析したところ、一般的なコーヒー豆とは明確に異なる成分が含まれていることが明らかになりました。
特に、香りを決定づける脂肪酸メチルエステルの違いが注目されており、「なぜコピ・ルアクが特別なのか?」という長年の疑問に科学的な答えが与えられつつあります。
Civet Robusta and natural Robusta coffee are different on key fatty acid methyl esters and total fat | Scientific Reports
https://www.nature.com/articles/s41598-025-21545-x
Chemistry: The key to civet coffee is in the chemistry | EurekAlert!
https://www.eurekalert.org/news-releases/1102441
World's Most Expensive Coffee Is Chemically Different Because It's Literally Poop : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/worlds-most-expensive-coffee-is-chemically-different-because-its-literally-poop
ジャコウネコが選ぶ豆は脂肪分が豊富
研究では、ジャコウネコのふんから採取したコーヒー豆と、同じ農園で栽培された通常のロブスタ種の豆を比較しました。その結果、ふん由来の豆はサイズが大きく、脂肪含有量が明らかに多いことが判明しました。
これは、野生のジャコウネコが熟した優れた豆を本能的に選んでいる可能性を示しており、品質の高さを裏付ける結果となっています。
風味を左右する化学成分が決定的に違う
コピ・ルアクの豆には、通常の豆よりもカプリル酸メチルエステルやカプリン酸メチルエステルといった特定の脂肪酸化合物が多く含まれていることが明らかになりました。これらは乳製品のようなまろやかな香りを引き立てる成分であり、コピ・ルアク独特の芳醇な風味の源と考えられます。
この化学的違いが、他のコーヒーにはない魅力を生み出しているのです。
焙煎の有無で風味が変わる可能性も
今回の分析では、生豆の段階で成分比較が行われたため、焙煎後の化学変化については未検証です。
一般的に、焙煎によって風味成分は大きく変化するため、今後は焙煎後のコピ・ルアクの特性を追う研究が待たれます。特にアラビカ種が主流の市場に対し、今回対象となったのがロブスタ種である点も、今後の検証に重要な意味を持ちます。
生産背景にある倫理的課題
一方で、コピ・ルアクの需要拡大とともに、ジャコウネコを狭いオリに閉じ込めて強制的にコーヒーチェリーを食べさせる飼育方法が問題となっています。
自然な状態で採取された豆とは異なり、こうした人工的な方法では品質にも疑問が残ります。今回の研究成果は、野生のジャコウネコによる自然な選別と消化プロセスが、コピ・ルアクの本質であることを改めて示すものとなりました。
関連動画
【コピルアク】超高級!ジャコウネコの糞のコーヒーを焙煎して飲んでみた!/ Kopi Luwak
文=WEBOPI(翻訳|構成|編集)

