世界初!パスタを粒子加速器で分析して判明「完璧な茹で方」の科学

概要

家庭で理想のアルデンテを再現するのは意外と難しく、とくにグルテンフリーパスタでは、茹ですぎてドロドロになることもあります。

そこで、イギリスとフランスの研究チームが、粒子加速器や中性子ビームといった最先端の科学技術を使って、パスタの内部構造を解析しました。

その結果、塩の量や茹で時間が食感や消化に大きく影響していることが明らかになりました。本記事では、科学的に証明された「完璧なパスタの茹で方」をご紹介します。

How to cook the perfect pasta – we used particle accelerators and reactors to discover the key
https://theconversation.com/how-to-cook-the-perfect-pasta-we-used-particle-accelerators-and-reactors-to-discover-the-key-268416

New study reveals the inner secrets of spaghetti

■X線と中性子で見る、パスタの「中の世界」

研究チームは、英国のダイヤモンド放射光施設やISIS、中性子源であるラウエ=ランジュバン研究所を使い、X線と中性子の散乱を用いてパスタの微細構造を分析しました。

特に重水を利用して、デンプンやグルテンを個別に「不可視化」し、それぞれの構造変化を詳細に観察することに成功しました。これにより、通常のパスタとグルテンフリーパスタの違いを科学的に明らかにしています。

■塩の量がパスタの構造を左右する

実験の結果、塩は単なる味付けのためだけでなく、パスタの構造を安定させる重要な役割を果たしていることがわかりました。

特にグルテンを含む通常のパスタでは、塩がグルテンの骨組みを保ち、デンプンの崩壊を抑える働きがあります。最適な塩の濃度は、水1リットルあたり7グラムです。それ以上の濃度になると、かえって内部構造が崩れやすくなる可能性があります。

■グルテンフリーパスタは非常に繊細

グルテンフリーパスタでは、グルテンの代わりに使われる加工デンプンが熱に弱く、構造を保ちにくいことがわかりました。

塩を加えてもその効果は限定的で、茹ですぎたり、塩分が多すぎると簡単に崩れてしまいます。最適な茹で時間は11分程度で、それを超えると急激に崩壊が進むことが確認されています。調理時には特に注意が必要です。

■未来のグルテンフリー食品開発への期待

この研究により、微細構造のレベルでグルテンとデンプンの働きが解明され、今後はグルテンに代わる安定した素材の開発が進むと期待されています。

食感の再現や栄養面でも改良が見込まれ、より美味しく、調理に強いグルテンフリーパスタの登場が待たれます。食品科学の分野でも、粒子加速器や中性子ビームといった物理学の手法が日常の料理に応用される時代が始まっています。

文=WEBOPI(翻訳|構成|編集)


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